本ブログは私が足を運んできたミリ活・艦活の日記・メモ代わりに利用しております。
自衛隊に興味ある方に読んで頂ければと存じますが、その筋の方や専門家の方が閲覧することを想定しておりません。
ご指摘・ご教示頂けると大変嬉しいですが、何卒ご笑覧頂けると幸いです。
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27DDGと同じく30DEX30DX3,000t型将来護衛艦、多機能護衛艦、コンパクト護衛艦(当記事では名称を30DEXに統一)という検索ワードにて当ブログにお越し頂く方が増えているようなので、現在(2016年9月23日)までに公表されている情報を元にまとめさせて頂きます。

30DEX試案その1
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MHI(三菱重工業)より公開された海上自衛隊が2018年から20隻程度を建造する予定の次期フリゲイト(フリゲート)事業の30DEXのモデルになります。

防衛装備庁が開発中の「統合空中線システム」と呼称しているLSXバンドの帯域や各種センサーを配した複合マストが描かれています。
 
MHIにより公開された諸元は、下記のようになっております。
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基準排水量:約3,000t
全長   :約120m
全幅   :約  18m
人員   :100
兵装   :Mk45 mod4 5inch(127mm)単装砲
      Oto-Melara(オート・メラーラ)MARLIN-WS ×2
      Sea-RAM(シー・ラム)×1
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先進的なデザインでありながら、どこか日本の保守的な部分が残っている、これまでの試案の中では一番私好みの艦型です(2017年1月14日時点)。

■1.30DEXの概要
30DEXは警戒監視、島嶼防衛及び災害派遣など多様化する海上自衛隊の任務に対応するため、平成30年度の予算化を目処に防衛技術研究本部で構想研究が進められている多機能護衛艦です^^vあくまでも「DE」であるため、ポストあぶくま型護衛艦でありながら、はつゆき型護衛艦と同程度のコンパクトな船体に高速力と拡張性、低価格など従来艦とは一線を画した能力、仕様が求められています。
 
また、30DEXの試案は複数あり、全体的にロー・シルエットなこととマストの統合空中線システムをはじめ、描かれている装備品は同種のものであり現在DEXに求められている装備の概要を伺うことができます。上述した内容に加え、30DEXには従来の護衛艦にはない対機雷戦能力の付与、各種無人ヴィーグル(UAVUUVUSV)の搭載も求められているようです。
 
さらに需要なことが対空、対艦ミサイルを装備しないことであきづき型の半額近い400億円での取得を目指し、単独での戦闘能力は低いですが、数を揃えられて様々な任務に使える多機能護衛艦になる模様。

なお、掃海艇の一部とミサイル艇の代替であるため、年ニ隻のハイペースでの建造が予定されています。

30DEX試案その2
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米海軍のLCS(Littoralcombat ship:沿岸海域戦闘艦)であるFreedom(フリーダム)級に準じたデザインです。
 
諸外国のステルス艦と比べても海上自衛隊らしい保守的なデザインとなっているため、予算不足で最終的にこの艦型になりそうな気もします()
 
このデザインでの武装はMk45 mod4 5inch(127mm)単装砲に近接防御火器のCIWSとして20mm高性能機関砲Phalanx(ファランクス)にSea-RAMが備えられています。

■2.30DEXの船体
新型護衛艦は多様な任務への対応能力の向上とコンパクトな船体が求められているとともに、厳しい予算制約の下各種事態に応じた柔軟な兵力組成のために建造数を確保する必要からも建造費は極めて低価格(約400億円程度)としなければなりません。

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我が国の防衛と予算 平成27年度概算要求の概要 P8より

まずコンパクトな船体について考察します。防衛白書において既存の汎用護衛艦と比べてコンパクトな船体が強調されていることから、少なくとも最近建造されたあきづき型、たかなみ型、むらさめ型護衛艦などの5,000t近くの基準排水量の船体は小型化されることは必然ですが、どこまで小型化するのかが論点となります。

多様な任務へ対応することがこの艦の特徴であることから海外への派遣、長期の洋上での行動能力が求められることが船体サイズ決定の鍵と言えます。そのような任務から推察するとはつゆき型もしくはあさぎり型護衛艦と同等程度の基準排水量3,000t~3,500t級の護衛艦となる見込みです。

ソマリア派遣には現在のところはつゆき型護衛艦は派遣されておりません。これは通信能力や情報処理能力によるもので、船体の寸法が海外派遣に適しないということではないと考えられます。現に遠洋練習航海などではつゆき型は派遣実績があり、滞洋性能に問題はありません。海上自衛隊ははつゆき型以降搭載装備の増加も相まって船体の大型化を進め大型艦建造の流れが主流だったため、ある意味船体の小型化は今までの趨勢に逆行するチャレンジとも言えます。

排水量は艦の総床面積に比例するところが大きく、どのようにして各区画のスペースを削減するかが鍵となります。搭載装備を削減するか、小型・軽量化により所要スペースを減少させるかあるいは抗堪性について船体規模に応じたものとするなどのコンパクト化に向けた方策について検討を深化させる必要があります。その中で必要であれば今まで踏襲してきた設計基準についても見直す必要がありそうです。

■3.建造
現状の船体の建造に関しては、防衛装備庁やMHIがコンセプト案を出しています。MHI以外の造船所がまだ案を出していないのか主契約企業がMHIとなっているのかは分かりません。。。船体サイズがコンパクトなことと、年二隻の建造ペースであることから比較的小さな造船所でも建造することができそうです!!
 
※ちなみに、あぶくま型は下記造船所にて建造されています。
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DE229あぶくま三井造船玉野造船所
DE230じんつう→日立造船舞鶴工場
DE231おおよど三井造船玉野造船所
DE232せんだい住友重工追浜造船所浦賀工場
DE233ちくま日立造船舞鶴工場
DE234とね住友重工追浜造船所浦賀工場
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【30DEX試案その3】
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試案その2と同様、初期からあるデザインの艦型です。

統合空中線システムが小型化でき、船体に保守的なデザインが採用されれば十分にありえる案だと考えます。

■4.機関
多様な任務への対応能力の向上を考慮すると機動性の確保が必要になります。機動性確保の観点では米海軍のLCS(沿海域戦闘艦)のような40knot以上の高速力を持たせることもオプションとしてありえますが、一方で新型艦艇には多様な任務に対応するために長期の洋上での行動能力を確保するために低燃費性も要求されます。

機動性と低燃費性を両立させる推進システムとして、ドイツのBlohm +Voss GmbH(ブローム・ウント・フォス)社によって建造されたMEKOA-200型フリゲイトが採用しているウォータージェットとプロペラ推進を組み合わせたWARP(Waterjet and Refined Propellers)推進があります。
 
しかし、WARP方式で30knot以上の速力を達成するにはプロペラや推進器周りの水流が抵抗とならないよう高速域におけるプロペラの効率的な回転や推進器周りの円滑な水流のための設計など技術的課題は多いと推察されます。公称値によれば南アフリカ海軍が採用したMEKOA-200型フリゲイトは16,100馬力のディーゼルエンジン2基と26,800馬力のガスタービン1基で可変ピッチ・プロペラ2軸、ウォータージェット1基により最大速力28knotとなっています。
 
新型艦艇には隻数確保のため低価格に抑えることも求められていることから、海上自衛隊として新たな推進システムの導入による開発経費の増大は避けたいというのが本音でしょう。そう考えると既存の護衛艦の推進システムと同じガスタービンとディーゼル・エンジンを組み合わせたCODOG(COmbined Diesel Or Gas turbine)が選択されると思われます。
 
新型艦艇では機動性と長期の洋上での行動能力を確保するため高出力のディーゼル・エンジンとガスタービンを採用することにより30knot以上の速力と低燃費かつ20knot以上の巡航速力を達成することも可能であると考えられます。さらに船体のコンパクト化のため機械室の抗堪性を求めず、機械室のパラレル配置や補機室を無くすのも一つの方策となります。

■5.拡張性
新型護衛艦に従来のような護衛艦的機能と掃海艦艇的機能を持たせる場合、それぞれの任務に応じたタイプの艦型を設計するのがよいのではとの考えもありますが、海上自衛隊の運用する限られた隻数や船価を考慮すれば一つの船型タイプに統一するのが適当です。

これはコンパクトな船体を目指す新型護衛艦の内容に相反するものとなります。多様な任務に対応するために装備を増やせばおのずと排水量は増加します。それを防止するため防衛白書では取り外し可能な装備の搭載及び装備・機能の厳選により多様な任務への対応とコンパクト化を図る予定としています。必要な機能、装備をユニット化して必要に応じて載せ替える、これがコンパクトな船体でも多様な任務への対応を可能とします。もちろんこれにはユニット化するための開発経費がかかり、装備の載せ替えに時間と多大の労力を要する装備は避けられませんが。。。

30DEX試案その4
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我が国の防衛と予算 平成27年度概算要求の概要」にて描かれていた新型護衛艦のイメージです。

てんりゅう型、くろべ型のような塔型マストを採用しており、新型護衛艦の初期イメージではありますが、案外現実的かもしれません(笑)

■6.兵装、電子戦装置
護衛艦としての武器システムは砲、近接防御武器、機銃といった必要最小限の個艦防御武器となる可能性もありますが、米海軍が作戦・戦闘様相の変化に伴いLCSの建造を途中で見直しフリゲイトの範疇で攻撃・防御力の見直しを図っている実例もあり、あまり船価に囚われ低価格低価値な艦艇になってほしくはないものです。
 
個人的には当初は装備できていなくても、拡張性の範疇で将来的には垂直発射装置(VLS)、対艦ミサイル(SSM)などが搭載できる余積、電力容量などを確保され発展性を持った艦艇となることが望まれますが。。。
 
次に掃海艦艇としての武器システムですが通常の護衛艦と掃海艦艇との大きな違いは、掃海艦艇は磁気を考慮し船体がFRP製もしくは木製であることです。一方3,000t級の船体でFRP、木製で建造することは困難を極め必然的に必然的に鋼製になり操艦艦艇のような非磁気性を達成することはできません。そのため対機雷戦は無人水上艇(USVUnmanned Surface Vehicle)、無人潜水艇(UUVUnmanned Underwater Vehicle)といった無人システムが装備されるでしょう。
 
対空センサーは小型化した多機能レーダーが搭載される見込みです。水中センサーについては防衛白書に掲載された曳航式ソナーなどによる対潜戦のイメージ図からすると曳航式パッシブ・ソナー(TASS)と可変深度ソナー(VDS)が搭載されています。

■7.艦名
27DDG同様、30DEXの艦名が気になっているミリオタの方は多いかと存じます^^v
 
海上自衛隊の艦艇の命名基準によると「DE」は「警備艦」というカテゴリーの中でも「機動艦艇」に分類されます。
 
「機動艦艇」から「護衛艦」と「潜水艦」に枝分かれし、「護衛艦」の命名基準は天象・気象、山岳、河川、地方の名(旧国名となっています。
 
現在の命名基準としてはDDH(ヘリコプター搭載型護衛艦)は旧国名、DDG(ミサイル護衛艦)は山岳名、DD(汎用護衛艦)は天象・気象に関する現象(雪・霧・雨・風)となっており、DE(沿岸警備護衛艦)に関しては河川の名称が与えられています。
 
そのため命名基準の変更がない限りは河川の名称から30DEXは命名されるものと思われます。
 
旧海軍艦艇に命名された河川名を挙げていく(※既存含む)と
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北海道地方:鈴谷(すずや)、夕張(ゆうばり)
東北地方 :北上(きたがみ)、名取(なとり)、阿武隈(あぶくま)、能代(のしろ)、最上(もがみ)
関東地方 :利根(とね)、鬼怒(きぬ)、那珂(なか)、多摩(たま)、酒匂(さかわ)
中部地方 :阿賀野(あがの)、神通(じんつう)、筑摩(ちくま)、天竜(てんりゅう)、木曽(きそ)、矢矧(やはぎ)、長良(ながら)、大井(おおい)
近畿地方 :熊野(くまの)、五十鈴(いすず)、由良(ゆら)、加古(かこ)、竜田(たつた)、鈴鹿(すずか)、水無瀬(みなせ)、音無瀬(おとな)
中国地方 :なし!!
四国地方 :なし!!
九州地方 :千歳(ちとせ)、球磨(くま)、三隈(みくま)、川内(せんだい)、大淀(おおよど)
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この中から命名される可能性が高いです(`・ω・´)ゝ
 
私の出身地の四国から採用されている河川名がないとは。。。orz
 
27DDG同様に30DEXもどんな艦名になるのか楽しみですね!!

■8.参考文献

※27DDGの考察よりも内容がかなり薄いため、近日中に更新予定ですm(_ _)m